2024年度都市計画学会東北支部研究発表会(2025/3/2)  優秀発表賞 受賞者一覧  及び受賞理由

2024年度 都市計画学会東北支部 研究発表会

<優秀発表賞 受賞者一覧及び受賞理由>

【受賞者】  工藤愛加(宮城大学)

【演題】  「居住誘導区域内の空き地が菜園として活用される可能性の検討」

【受賞理由】  本研究は,居住誘導区域における空き地の利活用方策として菜園の活用可能性について,仙台市内の土地所有者へのアンケート調査を行い,その分析結果を取りまとめたものである.郊外住宅地における空き地の有効活用の可能性を明らかにしており時宜にかなった研究である.質疑にも丁寧に対応し,研究内容を理解していると感じられる優れた発表内容であった.[評者:重浩一郎(八戸高専)]

【受賞者】  松本稜太朗(長岡技術科学大学)   

【演題】  「立地適正化計画策定後の市街化調整区域地区計画に関する研究」

【受賞理由】  本研究は、立地適正化計画策定後の市街化調整区域地区計画のあり方を検討することを目的に、特徴的な2事例を対象に実態を調査したものである。特に福島市の事例では市街化区域から調整区域へ人口が流出している実態を明らかにするなど、立適計画と調地区制度の連携が不十分である現状を指摘し、さらなる連携にかかる政策を提言した有用な研究である。発表と質疑応答が明快であった点も評価できる。[評者:荒木笙子(岩手大)]

【受賞者】  齋藤岳(長岡技術科学大学)

【演題】  「人口減少期における線引き都市での拡大した工業地域に関する研究」

【受賞理由】  本研究は人口減少下の工業地域拡大と建築制限の実態把握を目的に、工業地域が拡大した地区を対象に調査されたものである。都道府県別ごとに区域区分変更に係る市町村への関与度合いに差があり、工業地域の建築制限に差が生じていることを明らかにした。市町村と都道府県の協働、工業フレームと関係した建築制限設定を明記した区域区分運用ガイドラインの策定など、よりよい都市計画につながる提案がなされている点が評価できる。    [評者:荒木笙子(岩手大)]

【受賞者】  堀合紳弥(東北大学)

【演題】  「メッシュベース歩車避難最適化モデルによる津波避難安全性の評価方法」

【受賞理由】  本論文は、津波発生時の自動車避難による渋滞の危険性を踏まえて、歩車混在の最適避難モデルを提案し、時間とともに変化する人口分布に対する安全性評価を試みたものである。居住分布や交通容量等の課題を視覚的かつ定量的に捉えることができており、沿岸部での防災都市づくりの発展に寄与することが期待される。[評者:丸岡陽(長岡技科大)]

【受賞者】  小井川美衣(東北大学)

【演題】  「原発被災地の商業事業者の再開動向に関する研究−福島県楢葉町・富岡町を対象として−」

【受賞理由】  本研究は原発被災地である福島県楢葉町と富岡町を対象に、商業事業者の事業再開や事業継続の動向を資料調査、現地調査、ヒアリング調査から明らかにした研究である。長期の非難が必要となる状況下での商業店舗の再開動向や商業事業の継続プロセスの傾向を明らかにしており、オリジナリティの高い研究成果として評価できる。発表プレゼンもわかりやすく、質疑応答も的確であった。[評者:杉田早苗(岩手大)]

【受賞者】  生方翔也(エヌシーイー株式会社)

【演題】  「新潟県湯沢町におけるリゾートマンションの利用状況および管理実態に関する研究−管理組合を対象としたアンケート調査からの検討−」

【受賞理由】  本研究は、バブル期に建設されたリゾートマンションにおいてすでに管理不全に陥っているものがあることに着目し、その管理実態を把握するための調査を新潟県湯沢町で行ったものである。この結果、丁寧な修繕や未利用住戸の充足などが進められているものが一定数あることを確認し、管理組合や管理会社の能動的な行動の重要性が示唆されている。総じて、リゾートマンションの管理の課題が丁寧に整理されており、優れた発表である。[評者:小地沢将之(宮城大)]

【受賞者】  坂本雄哉(東北大学)

【演題】  「住民意見募集におけるデジタルプラットフォームの有効な活用方法に関する研究」

【受賞理由】  本研究は、住民の意見収集手段として今後普及が期待されるデジタルプラットフォーム導入自治体に着目し、デジタルプラットフォームおける利用実態や既存の住民意見募集手法との併用実態を明らかにしたものである。本研究では,デジタルプラットフォームを導入した自治体の実情を丁寧に検証したうえで今後の課題についても的確にとらえている点で高く評価された。[評者:馬渡龍(八戸高専)]

【受賞者】  入谷柚(東北大学)

【演題】  「外部支援者の効果を考慮した被災地の居住機能回復過程の時系列分析」

【受賞理由】  本研究はモバイル空間統計を用いることで被災地における外部支援者数を把握し、その外部支援者が居住機能回復にもたらした効果を定量的に評価したものである。本研究により、災害発生時における外部支援者の必要・重要性が定量的に把握されており、今後の発展が期待される研究内容といえる。また、質問者の意図を正確に把握し、自らの研究内容を十分に理解していることを想定させる質疑であった点についても評価される。[評者:日野智(秋田大)]

【受賞者】  澤村悠里(東北大学)

【演題】  「モバイル空間統計に基づく大雪時の札幌大都市圏通勤・通学交通機能の定量的把握」

【受賞理由】  本研究は、携帯電話の基地局から得られる位置情報をもとにしたモバイル空間統計を用いた従来の手法を発展させることにより、大雪による交通障害発生時の通勤・通学交通機能を定量化したものである。大雪による交通障害は東北などの積雪寒冷地では重要な社会的課題であり、本研究が提案した手法は様々な状況に広く適用しうるものと評価される。また、発表において、手法等を聴衆に非常にわかりやすく説明していた点についても評価される。[評者:日野智(秋田大)]